今、ホテル業界の消臭剤マーケットを、圧倒的スピードで席巻している消臭剤

HOTERES 共同開発ストーリーは、ホテル・レストラン関係の出版社である株式会社オータパブリケイションズの、岩本大輝氏が、国際興業と白元の関係者に取材を行い、書き下ろした文章です。
清水香発売から10年以上経つが、毎年、売上記録を更新し、成長を続ける「清水香」。その原点の物語。

どうして、これほどの反響が起こっているのであろうか。

試せは分かります。消臭効果をみれば、自然とうちの製品に切り換えてくれます。野々浦は平然と話す。彼は国際興業で「清水香」を誕生させた人物であり、名付けの親でもある。ホテル業界は、それほど新規参入者に対して開かれた業界ではない。一つの商品を導入するために、現場の意見、マネージャーの意見、購入担当者の意見と、様々なハードルをクリアする必要がある。「今までやってきたことを変えるのは面倒」というのが基本だ。
それを覆すぐらいの、大きなエネルギーを持つインパクトが必要となる。

発売当初は飛び込み営業等も行ってきましたが、
商品力があったので、営業は全然難しくありませんでした。

ご提案した先からの受注率は、初年度で60%を超えていましたから。平然と語る裏には、大きな自信が見て取れる。それほどまでに抜群のパフォーマンスを持つ「清水香」。一体、どのように生まれたのだろう。気の遠くなるような、長年の研究の成果だろうか?血の滲むような、研究者たちの努力の結晶なのだろうか?これから始まるストーリーに期待を寄せ、力が入る。しかし、この期待は、いとも簡単に裏切られる結果となった。話を聞いて、力が抜けるような、仕方なく笑ってしまうような、なんとも言えない感覚に陥ったのだ。別に、失望したのではない。「事実は小説より奇なり」この言葉を思い知らされただけだ。なぜ、こうも偶然は重なるのだろう?物語は、全く関係のないところから始まったのだった。

国際興業商事部 ITシステム販売担当 野々浦秀治(当時28歳)
当時は主に企業やホテル・バス会社等にシステムやネットワークを販売していた。

野々浦は、幾つかの異業種交流会に参加していた。そのうちの一つに、私的な繋がりのあるメンバーを集めて発足した交流会がある。その交流会は、2ヶ月に1回のペースで各メンバーの会社を回り、プレゼンの機会を設けるというスタイルで運営されていた。固定のメンバーに加え、その時々に新たなメンバーが入ることもあり、常に新陳代謝を促していた。多種多様な職種での人脈を広げようとする者。ビジネスパートナーを探し、ビジネスマッチングや異業種でのアライアンスを模索する者。自社だけでは偏りがちな考えを、幅広い交流によってバランスを取ろうとする者など、参加者の目的は様々だ。ちなみに平成16年8月にその第一回目が開催されており、約5年経った今でもその会は続いている。一回目からのメンバーであった野々浦は現在、事務局の一人として会の運営をサポートする立場だ。野々浦自身、同会に参加したてのころは、「人脈を広げたい」という漠然とした目的以外、明確な狙いがあったわけではなかった。参加するようになったきっかけも、親しくしていた人間がたまたま同会の発起人であり、その人間から運良く誘われたからだ。それでも、こうやって、未来への種はまいていた。もちろん、種だけでは芽は出ない。芽が出るためには、種と、栄養豊かな土と、水が必要だ。

野々浦はこの異業種交流会で、偶然「白元」の現社長、鎌田真 氏と出会う。白元は古くからデイリーケアケミカルを本業とする会社だ。「清水香」にとって、リソースとなる白元の技術は、まさに豊かな土壌。種と、豊かな土壌がそろった。最後に必要なのは、芽が殻を突き破るパワーを与える、水。
「こちらから相談してみたんです。『最近ウチのグループの現場で"におい"の問題があるんですが、白元さんのところでいい商品できませんか?』って。」
そして、鎌田氏はすぐに研究開発室長で白元研究所の所長である浦上を紹介した。すると、浦上はすぐに野々浦と一緒に国際興業の現場まで足を運び、現場のにおいを確認すると共に、現場の声を聞いた。ポン、ポン、と、リズムよく話が進んでいく。モノを生み出す時には、このキャッチボールのリズムが肝心だ。
「こんな話が出たんですけど・・・できますか?」
「もちろん。でも、そんなニーズがあるなら、それだけじゃなくて、これも加えよう。」
「だとすると、こんなこともできちゃいますか?」
ポンと出すと、ポンと返ってくる。この小気味よい感覚が、関わる者をより活性化させ、生み出すエネルギーを比例級数的に大きくする。このエネルギーが、全て「清水香」の開発に込められる。

2004年 夏 消臭剤の出発点は、 ひとりのシステム営業担当者。出発点
成功要因その1プロの現場が使う、 プロが納得する、 プロ仕様の商品を完成。

その当時、ホテルやバス・タクシーの現場では、はやりだした家庭用消臭剤を使う例も増えていた。

そんな状況だからこそ野々浦は、プロの現場が使う、プロが納得する、プロ仕様の商品を完成させる必要性を感じていた。
浦上も、野々浦と同じような思い入れを持って、製品開発に挑んでくれた。これが、「清水香」の成功の大きな一因となっている。
浦上は、野々浦と一緒に現場まで足を運び、ヒアリングをする。臭いと消臭を科学的に理解している浦上だから、現場に行けば状況が良く分かる。次はこうすればいいのだなと、感覚的に分かるのだ。二人は、臭いの種類・消臭力・使い勝手など、様々な点から調査すべく、何度も現場に通った。グループ内に現場があるといっても、場所が近いわけではない。試作品を持って、県一つまたぐ場合もあった。^

しかし、妥協はしなかった。徹底的に、こだわった。

この二人が揃わなければ、「清水香」は生まれなかっただろう。一人では、なかなかこの情熱は続かない。異業種交流会での出会いが「清水香」を生むきっかけとなったのは興味深い偶然だが、そこに浦上が現れてこの二人が揃ったのは、ものすごい偶然だ。こういうのを縁というのか、運命というのか。フレミングがペニシリンを発見したときもそうだった。新しいものを生み出す時、偶然という要素は無視できないものの一つなのだろう。

エジソンの名言の一つが、ふと頭に浮かぶ。
"I never did anything worth doing entirely by accident and none of my
inventions came about totally by accident. They came about by hard work."

(私は全くの偶然で価値ある何かをしたことがないし、私の発明の一つたりとも全く偶然に生まれたものはない。これらは皆、勤勉によって生まれたものだ。)

この解釈を間違ってはいけない。彼らは勤勉だった。その上に、偶然が重なったのだ。やはり、全くの偶然ではないのだ。

大きなエネルギーを注がれ、約1年半の歳月をかけ「清水香」は完成することになる。

二人がどれだけ熱い情熱を持って良い商品を作り、その悩みを解決しようとしても、よその人間となれば営業マンだ。本音の部分も出にくくなる。だが、グループ内の人間となると、信頼感が違ってくる。ぜひ良いものを作ってほしいと、意見がどんどん出た。また、二人が何度も通えたのは、グループ内だったから、ということもある。ヒアリングを行うためには、現場の人間のスケジュールにも影響が出る。グループ内だからこそ、彼らの情熱に、現場の人間も辛抱強く協力してくれたのだ。
実は、この偶然は白元にとっても大きな出会いであった。

白元には、もともと消臭について研究してきた歴史があり、もう十年以上も前に、消臭の技術を製品化していたのだ。だが、当時はそれほどのマーケットもなかった。また、最近のように、消臭が注目されるような時代になっても、大手メーカーのように「莫大な広告費をかけて」というわけにもいかず、結局、封印されたままであった。原価を抑えて、大量生産で、一般家庭向けに。「薄利多売で」ではなく、クオリティに妥協することなく、「確かな消臭技術」をどのように活かすか。白元の技術は、いわば玄人向きだったのだ。その消臭技術の出口をずっと探していた白元にとって、国際興業との「業務用消臭製品」という出口は、この上ない最高の条件であった。偶然の出会いから始まった構想が、熱い研究者との出会いや、企業背景などの、また、更なる偶然の出会いによって、加速していく。現場のニオイに関する悩みやニーズといった「生の声」を吸い上げ、双方が怛まれていく。製造は白元の浦上を中心に開発グループや白元研究所のスタッフによって進められる一方で、ネーミングを含めたブランディングや事業戦略は国際興業の野々浦を中心にねりあげられていく。

国際興業には、問題を抱える現場と、 それを解決する商品を開発につながる部署が、 同じグループ内にあったということだろう。成功要因その2
発売開始2006年 春 まさに、快進撃という言葉が、 ぴたりと当てはまる。

乾いた大地に水が滲みこむように、マーケットに吸収され、広がっていく。

乾いた大地といっても、それまで「消臭剤」とうたう商品がなかったわけではない。業務用消臭剤は星の数ほど存在するといわれる。また、一般家庭用として有名な商品が、ホテルの消臭剤としても使われていた。だが、「清水香」を一度試すと、皆が「清水香」を使うようになった。
野々浦の言葉で「パタパタと」面白いくらいに各ホテルが「清水香」に切り換えてくれる。
いかに「におい」に対する問題を抱えているところが多かったのかを、改めて実感する。やはり、自分たちだけではなかったのだ。国際興業の、ホテルやバス・タクシー事業をもつ強みが、大いに活かされた。そして、眠っていた白元の技術が、最大限に活かされた。

「だいたい私たちは製品の5年くらい先を見据えて、『このくらい出てるといいな』
という数字を出しておきます。」(浦上)

「浦上さんと話していたんです。(目標数字があって)『ここまでいったら、宴会ですねって』」
宴会とは、「よく頑張りました」のレベルではない。その数字を、5年どころか2年で達成してしまった。その勢いのすごさが、数字でも充分に伺える。さて、ここまでは非常に順調に来ている。今後は、どのような展望だろうか。

「より多くのホテルで、業務用としてお使いいただくことを目指すのは当然ですが、今後はホテルの
お客様や、一般のご家庭などでも使っていただける製品を目指し、展開していきます。」

「ホテルのお客様にも、自宅と同様に、スーツなどに付いた臭いを消したいという潜在ニーズがあります。これをアメニティやノベルティとして展開するという新しい取り組みを、強化しております。また、プロ仕様の消臭剤ではありますが、一般のご家庭でも使いたいという方が多数おられ、実際にホームページ上で通販を開始したところ、一般の方々からのオーダーも多数いただいております。」これまでは、営業戦略上ホテル業界に注力してきた国際興業だが、他の業界でもバス・タクシー・病院・介護施設やカラオケボックス・飲食店などでもニオイの問題で困っている現場は数多くあり、事実、「清水香」はこれらの業界にも入り始め広がりを見せている。ロケットスタートで始まった「清水香」の勢いは、まだ、当分の間は衰えることはないようだ。

ニオイの問題で困っている現場は、数多くあり、これらの業界にも入り始め広がりを見せている。新規市場へ
清水香の今ホテル業界で確固たるポジションを確立し、海外進出やコンシューマーチャネルでのコラボ等、新たな展開で成長を加速させている。
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